*R-18
やばい人を拾った「佐助」の話











熱い息が首筋に当たっている。
「さ、すけぇ…」
嬉しそうに笑うような声音に絶望を覚える。
ねじ込まれたものが動くたびに、痛みが走り意味の無い呻き声が出る。
「いてえ…!」
自然と涙がこぼれ、シーツにシミが出来た。
なんでこんなことをされているんだろう、なんでこんな苦しい目にあっているんだろう、

なんで、なんで…













学校からの帰り道、見慣れない赤いものが視界の端に入った。
何気なく振り返ると、派手な格好をした男がこちらを見て目を丸くしている。
赤いジャケットに、甲冑のような…。
なんだろう、秋葉原でもないしただの道端で。
日常的にコスプレをする人だろうか?
ちょっと怖かったので、見ない振りをして通り過ぎようとしたのだが、いつの間にか近づいていたその赤い男に、がしりと腕を掴まれた。
「痛、」
やたら強い力で握られ、思わず声が出た。
「なんだよアンタ」
「佐助?」
「…はあ?」
なんで、名前を。
赤い男は、やたら綺麗な顔でにこっと笑った。
子供のような無邪気な表情だ。
「良かった、佐助だな」
「はあ…」
向こうは俺のことを知っているようだが、俺は知らない。
関わらずにさっさと逃げてしまえばよかった。
だが、何故かその男の手を振り払うことを俺はしなかった。
男の力があまりに強くて、がちがちにホールドされていたから…というだけの理由ではなくて。
お腹ががすいた、とすり寄ってくる男の睫がやたら濃いな、と眺めていた。













俺より少し小柄に見えるのに、鍛え方がハンパないらしいその男は、簡単に俺の体をひっくり返し、足を広げる
あまりにも無様な姿に痛み以外の涙がこぼれる。
抵抗なら散々した。
しかし俺の拳も蹴りも、3倍ぐらいに返され俺の体にアザを作った。
下手に逆らうと命もあぶないかもしれないと、されるがままになっている。
俺はぐったりと体をベッドに預けた。
早く終われ、終われ、終われ…。
それだけを祈っている。
無理矢理こじあけられた場所が、痛くて、燃えるように熱い。
「ぐ、うぐ、」
「痛むか」
がくがくと頷く。
「嫌か」
「…いやだ」
答えた俺に、男は笑った。
「夢ならば佐助もそのように素直に言うのだな」
意味はわからないが、男が、またぐちりと動いて呻く。
「痛ッ」
「我慢せず声を出せ」
「…うう」
繋がっている箇所を男の指がなぞる。ぬるり、と滑った。
ああ、血が…。
赤く染まった指を男が見る。
そのまま俺の左右の頬と、鼻の頭をなぞる。
「…足りぬな」
勢い良く男が自分の指を噛んだ。
ぽた、と腹の上に液体が落ちる。
そしてまた俺の顔に指を伸ばし、
「ああ、お前、赤も似合うな」
笑う顔を見て、俺の意識はそこで途絶えた。


















とりあえず命はあるらしい。
浮上する意識に、まずそう思った。
そして、下半身の痛みと熱さに歯を食いしばる。
畜生、とんだ目にあった。
体を起こす。驚いたことに、隣にはまだ暴行&強姦犯が寝ていた。
気持ち良さそうな寝顔だ。
散々やったのだから、こいつはすっきりしただろう。
俺は最悪だが。
起こさないよう、静かに洗面台へ向かう。
喉が渇いて仕方が無い。
鏡を見て、ぎょっとする。
最中になぞられた頬と鼻の頭に、赤黒く変色した模様があった。
それが、奴の血と、そして自分のあらぬところの血だと思い至って、鏡の中の俺が酷い顔で笑っていた。
もう笑うしかない。